チリで遭難しかけた話

そう、あれはチリに着いてまだ10日ほどという時に起こった。

僕は当初、チリで書道をやって生計をたてようと思っていたが

なかなかそれを実行に移せていなかった。

そんな時に前回の記事で紹介した打村明さんと出会い

学校の文化祭で書道をやらせてもらうことになった。

目的地に一人で向かう

学校の文化祭は朝の10時から夜の19時までで

会場は、首都サンティアゴから西へ1時間半くらい行ったところにあるビーニャデルマールというところ。

もし、これが日本だったら東京から横浜に行くぐらいの距離なので、ぼっーとしていても辿り着けるのだけれど、ここはチリ。

電車の乗り方も、バスも乗り方もまだわからない。もちろんスペイン語も話せない。

僕はサンティアゴにいたので

打村さんにサンティアゴからの行き方や、会場の地図を教えてもらった。

僕はその時simカードを持っていなかったので、wifiがあるところでしかスマホを使うことができず

会場までの地図をスクショしまくった。

 

サンティアゴからバスでビーニャデルマールに行き、ついたらバスに乗り、文化祭が行われる学校の付近で降りる。

 

正直、ビーニャまでは余裕だった。

バスのチケットを買うときも、僕は英語をちょっと話せるのでなんとなくで買うことができた。(話せなくてもビーニャデルマーって言って、人差し指で1を作れば買えます)

 

ビーニャまでは問題なく到着したものの、ここからバスで学校の付近まで行かなければいけない。

会場までの地図はスクショしてある。問題ない。

 

唯一の問題点といえば、バス停と言ったバス停がなく、降りる時はバスの運転手に自分で言わなければいけないこと。

 

僕はどうしようと思っていたが、まあ降りる人と一緒に降りればいいやなどと気楽に考えていた。

しかし、チリのバスの運転は荒く、どこかに捕まっていないと確実に吹き飛ばされる。これは集中する必要がある。

僕は片手で手すりを持ちながら、もう片方の手でスマホを使い、グーグルマップの現在地と、スクショしておいた地図を見比べながら、自分が降りる瞬間を今か今かと待っていた。

 

しかし、これがけっこう難しい。

もともと方向音痴な僕は地図を見比べても自分が今どこにいるのかあんまりわからなかった。 

それに加えてバスの運転は荒い。これが僕の平常心を乱してくる。

 

そんな時、バスに乗っている多くの乗客が降り始めた。なぜだ。ここはどこなんだ。

しかし、僕は1人では降りることができない。この人たちと降りるか。降りたらもう乗れない。でも今降りなかったら次いつ降りれるかわからない。

急に焦ってしまった。焦ると人間は普通の思考ができなくなる。

 

降りる場所をミスる

気づいたら僕はバスを降りていた。

グーグルマップを見ると、会場まではもう少しありそうだ。まあこっから歩こう。マップを頼りに少し歩く。

途中、人に道を尋ねるも、会場の場所は知らないと言われてしまう。

そう、ここビーニャデルマールは観光地として有名だったのだ。みんな初めて来たのである。

しょうがない、人に聞くのは諦めグーグルマップを頼りに歩いて行く。かなり歩いた。坂を登ったり下ったりしたので汗もかいていた。1時間ぐらい歩いただろうか。

 

遭難しかける

 

そして、一本道になった。

ここを抜ければいいんだな。そう思って歩いていく。

 

あれ、道なのかこれ。本当にこっちであってるのか。

ふと、グーグルマップを確認して見ると、さっきまで道を歩いていた僕の現在地が、道ではないところを指している。なぜだ。

先は一本道、しかも前方には8匹の犬が見えた。俺を見つけるやいなや吠えまくっている。

戻るか?いや、戻るのはなんだか嫌だった(早く着きたいのに戻って同じ道を歩くなんて無理、こっちは疲れているんだ。)

 

突き進むしかない。

そう決めた。

犬との距離が近づいていく。8匹が一斉に吠えてくる。怖い。けど、目を合わせてはいけないとどこかで聞いたから、無視して歩く。吠えながらついてくる。前だけみて歩く。

 

しかし、歩いた先に道はなかった。

どうやら民家の敷地に入っていたようだ。8匹の犬は家の番犬か。そりゃ吠えるわけだ。彼らはご主人様を守ろうとしていたのだから。

 

さあどうしよう。かなり歩いて疲れていたし、前は森、戻るのはだるい。もう泣きそうだった。

でも、僕にはひたすら前に歩き続けること以外の選択肢はなかった。戻ったら犬いるし。

 

人生で初めて道のない道を歩いた。

森の中をかき分けていく。僕が道を作っている、そう言っても過言ではなかった。Googleさん見てますか、今日からこの道もマップに追加よろしく。

 

奇跡的に民家を見つける

 

諦めずに歩いていくと、家らしきものを見つけた。民家だ、民家を見つけたぞ!

しかも外でバーベキューをしている様子。幸いなことにこの日は日曜日だった。

2つの家族がバーベキューをしていたのだ。

僕のことを見つけるとすぐに「どこから来たんだ」と聞かれた。

僕はてんぱっていて「森の中」と答えた。

「いやいや、国だよ~笑」

彼らは僕にはないものを持っていた。そう、余裕だ。

そして彼らは奇跡的に英語を話すことができた。このチリの山奥で。すぐに僕は学校の場所を見せた。

彼らは当然のように学校までの行き方を教えてくれた。どうやらここから近いようだ。

助かった、、、

僕は言われた通りに道を歩き、そしてついに、学校に着くことができた。

 

文化祭で子供達にちょっと書道をする

 

文化祭は9時から19時までだったが、着いたのは17時。着いたからいいんだ。

 

僕は何食わぬ顔で打村さんに挨拶をし、ドヤ顔で書道をした。

 

僕は軽く遭難したことを話すと

打村さんは「それは大変だったねえ」とおにぎりをご馳走してくれた。

このおにぎりが今まで食べたおにぎりの中で一番うまかった。図々しくおかわりもした。

チリの人って書いて遊んだり、チリの子供たちの名前を日本語で書いてあげて3000ペソ(日本円で500円)を稼いだりした。

無事、文化祭も終わり、帰りは打村さんに車でホステルまで送ってもらった。

こうして無事に1日を終えることができた。

遭難しかけた時は本当に泣きそうだったが、振り返ってみれば良い経験になった。

最後に頼れるのはスマホの中に入っているGoogleマップなんかじゃない、人間の直感だ。

同時に、その場その場で助けてくれる人たちに感謝することも忘れないでいたい。

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